Monday, March 7, 2011

Maserati @Jugendkulturhaus Cairo in Würzburg Mar 4

フランクフルトから東に約130キロほどに位置するヴュルツブルクへ、Maseratiのライブを観に行って来ました。ヴュルツブルクまでのアウトバーン、B3号線も所々工事区間が有り、自宅を20時に出発して会場に到着したのは21時半過ぎ。

会場となったJugendkulturhaus Cairoは古い石造りの建物内装をリフォームしたキャパ200人弱ほどの小さいライブハウス。場内に入り、間もなくしてトリ前のアーティスト演奏が始まった。シュールな近代美術絵画を次々と映し出す映像に合わせて、50代、60代と思われる初老の男性が、ループエフェクトを巧みに操りホワイトノイズ+ニューウェーブの実験音楽を奏でる。そして傍らに銅像のようにぴくりとも動かずしゃがんでいた、仮面を付けた女性がその曲の展開とともに意味不明のダンスを踊り出す。私が驚いたのは、人によっては退屈に感じぺちゃくちゃとお喋りをする観客がいてもおかしくないのに、アーティストに敬意を払うかのように、黙ってパフォーマンスを見ている。この日がたまたまであったのかもしれませんが、ドイツ人のオーディエンスとしてのモラルは日本のそれに近いように感じます。

前座のパフォーマンスが終わると、Maseratiのメンバーが登場して黙々と機材のセッティングを行っていく。大抵彼らのようなインディバンドは必要最小限のスタッフでツアーを廻るので、セッティング、片付けは殆ど自分でこなさなければなりません。ここでちょっと過去の話に遡りますが、私がまだバンクーバーに住んでいた2009年10月にMonoと共にツアーを廻っていたMaseratiのライブを初めて見ました。アルバム「Inventions for the New Season」がリリースされてから2年を経てようやくその機会が巡ってきたのです。その時は何よりもジェリー・フュークスのドラムがパワフルで、「Show me the season」の3連キックに圧倒された。そしてその一ヶ月後、ジェリーは故障のため停止した作業用エレベーターから建物のフロアに飛び移ろうとした際に誤って落下し、帰らぬ人となってしまったのです。

そんなこともあって、今回Maseratiのツアーに帯同しているZombiのA.E.Paterraがどれだけのドラミングを披露してくれるのかが楽しみでしたが、実際のところゲスト以上の働きはしていないというか、ラフな演奏が目立ちました。この日が欧州ツアー2日目ということでまだ時差ボケという問題もあるでしょう。

今回のショウでは新作アルバム「Pyramid of the sun」の楽曲を中心に、過去のポストロック色からエレクトロニック色の強い音楽へと変遷を遂げていました。そこには1年半前のスタイルとは明らかに異なっていますが、その代わり中心メンバー、ギタリスト(名前は分かりません)のループやディレイを多用したサウンドがより鮮やかに感じました。

残念ながら、今回のライブでは私が最も好きな「Show me the season」は披露されませんでしたが、それでもわざわざヴュルツブルクまで観に来た甲斐はありました。僅か1年という短期間で新たな方向性をバンドは獲得したのですから。