Sunday, October 25, 2009

The Jesus Lizard @ Commodore 10/24/09






待ちに待ったThe Jesus Lizardのライブ。

USジャンク界の帝王が期間限定で再結成し、幸運にも海外にいる私はこのライブを体験する事が出来た。

これまでにも日記で触れてきたが、前回観たのは同バンドが初来日となった「イグアナラマ」という日比谷野音で行われたフェスティバル。ちなみにその時のラインナップは他にHouse Of Pain、Boredoms、The Beatnuts、Dog Eat Dog、Cocobat、Super Junky Monkeyと全く接点の無い組み合わせで、よくこれにThe Jesus Lizardが出たものだなと今では不思議に思う。

さて、過去は忘れて(この時は彼女と二人で行ったっけ)、現在に話を戻します。

ウェブ告知にしたがって会場であるCommodoreに21時半過ぎに入ると、まだ観客の数も少ない。物販コーナーでTシャツを買おうか悩みながら(結局買わなかった)時間を潰し、しばらくして前座が出てきた。前座は無いものと思ったのにしまった。時間が無駄になってしまった。
この前座がローカルバンドなのか、内輪の友人等が数十人ホールに集まっていたが、これほどレベルが低く何をやりたいのか全く伝わってこない、ひどいバンドを観たことは無いので、終始「あーこれは恥ずかしいなー」と笑いがこみ上げてくるほど。そして30分ほど苦痛に耐え、セットチェンジして23時前にようやく御大The Jesus Lizardが登場。

演奏の開始とともに空気が変わり緊張感が走る。「これだよ、これ」と心の中で独り言をいい、この日この場所に居られた幸せを噛み締める。
ヴォーカルのヨウ先生はチビでハゲで腹がぼこっと出ていて、知らなければホームレスと変わりない風体なのだが、歌っているときは神である。のっけかステージ前方の観客頭上にダイブ敢行。否、8割方の曲でダイブし、観客の上を泳ぎながらしっかり歌っている。
しかし、ハチャメチャなようでいて、セキュリティーの制止を振り切ろうとしてステージに上がり損ねて、どこかに頭をぶつけて流血した不運な観客のケアをするようセキュリティーに促したりと細かいところによく気を配っている。プロフェッショナルの流儀でそのメンタリティを語って欲しいほどに、すべての点においてプロである。

ところで、この日演奏された楽曲は最近リマスター再発された、Touch&Go時代の5作品からが中心。1時間ほどで一旦ステージを後にするも、すぐに戻りここから30分程演奏。そして一旦会場照明が明るくなり、一部の観客が既に外に出てしまった後に、再びメンバーがステージに戻ってきた。まるで映画が終わって出演者のテロップが流れた後に続きがあったかのよう。これだから最後までいるべきですね。2回目のアンコールは聴きなれない楽曲であり、おそらくメジャー作品のものと思われる。メジャー2作品はほとんど聴かずにディスクユニオンでとうの昔に売ってしまったので、どんな曲だったか全く憶えていない。

さて、どう話を結ぶことにするか。このバンドのライブは期間限定で、その後はやっぱり活動はしないのかなと思うが(期間限定だから良いとも言える)、観たい人が入れば日本からフライト代払ってでも海外で観て損は無い。そんなふうに思うくらい、自分にとっては本当に最近10年で一番良いライブであった。


Sunday, October 18, 2009

Metalocalypth at Orpheum 10/04/09

日曜日、Dethklokの公演をOrpheum Theaterで見てきた。

Dethklokというのは、私も最近知ったのですがデスメタルバンドが主役のTVアニメ番組が基となり、プロのミュージシャンで構成されたいわゆる企画モノのバンド。
先に書いてしまう、企画モノとは言いながら、各メンバーは相当の猛者(例えばベーシストはスティーブヴァイのツアーメンバー)ばかりで、寸分の狂いも無い演奏に驚いた。

さて、今回はこのDethklokではなく、ゲストのMastodon、Converge、High On Fireを観るのが目的。


■High On Fire

6時半から一発目、High On Fireのステージが始まったときは未だ観客も100人強といったところ。
会場のOrpheumは座席指定なのですが、ストーナー神Matt Pikeに扇動され、そんな決まりは関係ないとばかりに観客はステージ前方に集まった。
(私もそのうちの一人だ)

前回、同バンドを見たのは2年前の10月。
3人編成ながら、初期のMetallica、Slayerといった匂いがする楽曲でライブも非常にヘビー。
しかし、これだけツアーをこなしているバンドも珍しい。実際この2年の間に、私は行かなかったが、他にGigantour、Opethのツアーでもバンクーバーに来ており、今回近作発表後実に4回目となるわけだ。
オフィシャルHPによれば既に新作のプリプロダクションは行われているということ
なので、来年には新作を期待したいところ。

■Converge

久々に背筋がぞくっとするようなバンドに出会った。
楽曲のキレの良さもさることながら、グルーヴマスターの名に相応しい。なんというウネリを感じた。


■Mastodon

「え?、何コレ」というくらいベース/ヴォーカルの声が出ていない。演奏もチグハグ。
それでもこのライブを良かったと思う人がいるからあまり中傷してはいけないか。
前の2バンドが余りにも素晴らしかったので、もう霞んでしまった。
このあたりが限界かなあ。。


■Dethklok

アニメ映像をバックに演奏力の高いデスメタルを聴かせてくれた。演奏が上手い、本当に上手い。どうしてこれだけ早い曲をミスゼロで演奏出来るのか不思議でしょうがない。企画ものだから普通のライブとは違う。なんというかロックオペラを見させられているような気持ちになった。

Wednesday, October 7, 2009

Sunny Day Real Estate at Commodre 09/17/09

まさか実現するとは思っていなかった。

SUNNY DAY REAL ESTATEがオリジナルメンバーで再結成。
そしてそのツアー初日はここバンクーバーから。
しかも、前座はトンと音沙汰が無かったJEALOUS SOUNDが務める。

JEALOUS SOUNDは一応説明しておくと、JIMMY EAT THE WORLD、
MARITIMEなど、正当的なエモロック(MY CHEMICALナンタラのような
自傷的なロックでは無い)の部類で、卓越したメロディセンスが印象的な
ミドルテンポの曲が中心のバンドである。私がやっている友人とのセッションでも、
以前このバンドの代表曲である「ANXIOUS ARMS」をカバーしたことがある。
そんなこともあって、私は十分にアルバムを聴きこんでおり、ほとんどの曲が
聴き慣れたもので、終始彼らのステージを楽しむことができた。

30分ほどでJEALOUS SOUNDのライブは終了し、セットチェンジを経て、
SUNNY DAY REAL ESTATEが登場。
サウンドは完璧。ツアー初日からタイトな演奏を聴かせ、これが十数年振りに
ライブを行うバンドの演奏とは思えないほどメンバー同士の息はぴったりだ。
楽曲は当然ながら、現FOO FIGHTERSのベーシストとして活躍中の
NATE MENDELが在籍していた1st、2ndアルバムからのみ。
ただ、それに名前も決まっていない出来たばかりの新曲も披露していた。
このことから、もしかしたらこのオリジナルラインナップで新作を期待
していいかもしれない。

Wednesday, May 27, 2009

Sasquatch Music Festival 09






初日

バンクーバーを朝6時前に出発。途中、渋滞も無く快適なドライブで片道500キロの道のりも苦にならなかった。一昨年、去年と同様に会場から70 キロほど手前のエレンズバーグの予約していたモーテルにチェックインして会場に向かう。手頃な宿としてはこれでも一番近いので少々遠くても仕方が無い。さすがに会場に隣接するサイトでキャンプをしようとは思わないので。

会場手前ハイウェイ沿いのワイルドホースモニュメントで車を止め、眺望を楽しむ。毎年の恒例行事。今年は初めて小高い丘を昇った。

モニュメントを後にして会場に2時頃到着。
入場して1時間ほどメインステージ前の芝生で時間を潰してから、セカンドステージに移動。King Kahn and The Shrinesを観る。ごく普通のガレージロックだがライブのテンション高く、なかなか楽しめる。その後、メインステージ前に戻り、昼寝。また1時間ほどしてからセカンドステージに戻り、Sun Kil Moonのライブを堪能。同時間帯のメインステージがAnimal Collectiveであったこともあるのか、それより前にノーチェックなのか観客が以上に少ない。Animal Collectiveの音楽は好きだけれど、ライブでひたすら打ち込みを聴かされて何が楽しいのか理解出来ない。Sun Kil Moonでこの日の目的は果たした。メインステージに戻り、ありがちな男女混合大所帯バンドという印象を受けたDecemberists、そして一昨年ロラパルーザで見たYeah Yeah Yeasの途中まで見て、翌日に備えるため21時過ぎには会場を出た。


2日目

フェス3日間の中日、実質このフェスのハイライトと言って差支えは無い。
本ツアーを終えた後に活動停止を表明しているNine Inch Nails、それからオリジナルラインナップで18年振りに再結集したJane's Addictionがこの日のフィナーレを締めくくる。それに、Mike Watt & The Missingemen、そしてex-Rage AgainstThe Machineのギタリスト、Tom Morelloのニュープロジェクト、Street Sweeper SocialClubを加えて、20年余りのUSオルタナティブを凝縮し、過去、現在、未来を示したマイジェネレーション的な内容であった。

ex.Minutemen~fIREHOSEのMike Watt。50歳を過ぎてもパワフルなオヤジベーシスト。スケールを忙しく動きまくり、ハーモニクスを多様、叩きつけるようなフィンガーピッキングは非常に独特。「ロックは座って聴くもんじゃねえ」と芝生で寝そべっている観客を一喝して総立ちにさせる。

続いてメインステージに登場したStreet Sweeper Social Clubは楽曲によってはRageに近い。ここ数年各フェスティバルでライブを行ってきた再結成Rageは結局、新たな一歩を踏み出すままに終わったのか?Rageは1stアルバムがベストで、以降アルバムを出すごとに今ひとつという個人的な印象が強い。

その後、メインステージ席後方の芝生で横になってワインを飲んだり、本を読んだり、昼寝したりとまったりとしながら4時間を過ごす。

夕方、TV On The Radioのステージからライブ観賞に戻り、数曲見てからセカンドステージのこれまたお気に入りのシューゲイザーアーティスト、M83を初めて観る。何度か私の住むバンクーバーにも来ているが、他のライブや仕事と重なったりしてなかなかその機会に恵まれなかった。そしてこの日もNine Inch Nailのステージをアリーナで観るために残念だが途中で諦めざるをえなかった。これでもしかすると最後の機会となるかもしれないNine Inch Nailsはライブのクオリティが非常に高く、演奏のブレが全くと言って無い。

続いて、トリのJane's Addiction。過去数回、再結成を繰り返して来たけれど、今回がオリジナルメンバーが全員揃った17年振りの真の再結成。Nine Inch Nailの後の出番を務めることができるのかと思ったがそれは間違っていた。ボーカルでリーダーのペリーファレルの声量はエフェクトでカバーしていたものの、ギター、ベース、ドラムと4つのパートが等しくぶつかりあい類い稀なるグルーヴを生み出していた。比較してしまうと、近年ギターのジョンフルシャンテにひっぱられてばかりのレッチリとは異なり、各々のバランスが非常に良い。そして言うまでも無く、同バンドの有名曲をライブでカバーしていたペリーのお遊びバンドと全く次元が違う。いいものを観させてもらった。


3日目

午後過ぎにゆっくりと会場入り。2年ぶりにGlizzly Bearをメインステージで観る。後で同ステージに登場するFleet Foxesのようなヒーリングロック的な側面がある。脱力感にひたり、まったりしたい時はオススメの音楽だ。

その後は一旦ステージに向かって後方の芝生で横になって、ジャングルからフォークまでごった煮サウンドを展開したSantigold、そしてマドンナが監督した映画作品にボーカルが出演していたりするジプシーパンクの Gogol Bordelloを観る。Gogol Bordelloは非常に盛り上がった。トラッドなスパニッシュ音楽とパンクの融合でノリが良い。

再びアリーナへ移動し、SUB POPの若手有望株Fleet Foxesを昨年のSP20以来に観る。ニールヤング風ではあるものの、透き通った美声はまるで神の歌声のごとく心に染みる。それからまた芝生に横になり、Silversun Pickupsを観る。まだセカンドステージのトリ、 Explosions In The Skyまで2時間以上ありぶらぶらと会場内を歩き回る。トリ前のGirl Talkでは観客をステージのスペース目一杯上げて、延々とDJタイム。ステージに大勢の観客を上げるというのはそれだけで私の価値観と異なる。

Girl Talk終了後、Explosions  In The Skyのメンバー自らが機材セッティングを行い、開演予定の10分前に始められるほどスムーズに完了。同バンドはインディーレーベルに属している、インストバンド。それがセカンドステージにしても、トリを務める。これがいまの音楽シーンの多様化を現しているようでもある。同バンドの音楽は文学的であり、人間の喜怒哀楽を音に表現している、そんな風に感じる。夕陽が沈みかけた薄暗い空に重なり合うギターが響き、前を向く力を与えられた。

Friday, April 24, 2009

Mastodon at Commodore 04/23/09

初めて目にするMASTODONのライブは、率直に言えば良くも
悪くも無い平均的なものと自分には感じられた。
演奏レベルは高い。演奏開始から
終了まで、ほぼタイトな演奏であるが今ひとつ物足りなかった。
それが何かと聞かれればグルーヴと答えるであろう。
区切られた空間の中でプレーヤーとオーディエンスが対峙し、
共鳴しあう事でグルーヴの渦を作り出す。昨夜はそれが
起きなかったということになる。

オーディエンスは予定調和を決して求めているわけでは無い。
その瞬間にしか味わえない体験を求めてきている。
そうでなければ自分の部屋に篭ってCD、レコード音源を
聴いていればいい。誤解しないで欲しいが、私はこのバンドが
好きだ。
アルバムを発表する毎にクオリティの高い楽曲を産み出している。
次の世代を担うメタルバンドと評されているが、前述のライブの
グルーヴを支配する事が出来れば、ホール、否スタジアムクラス
までのバンドに成長する可能性もある。
METALLICAが何故あそこまで大きくなったのか考えてみると分かり易い。
先のライブで、このバンドは全てを兼ね備えた究極な集合体だと感じた。