Saturday, May 7, 2011

Mogwai @ Mousonturm in Frankfurt am Main Mar 6

もう2ヶ月前になりますが、私が住んでいるフランクフルトで3月6日に行われたMogwaiのライブについて書きます。本当はライブを見終えて記憶が鮮明なうちに日記を書いておくほうが良いのですが、3月11日に発生した東北関東大震災により急遽、日本にいる家族の安否確認で3月半ばから4月上旬まで日本に帰国滞在。そしてフランクフルトに戻って来てからも週末は後で日記に書いていく音楽フェスティバル、Out Of The Crowd FestivalやRoadburn Festivalに行ったり、結構ばたばたしていたので放ったらかしにしてしまいました。(いけませんね)

前置きはこの位で本題に入ります。まず断っておきますが、Mogwaiについて私はド素人です。バンクーバーに住んでいた時、はっきりは覚えていませんが3、4年位前に一度ライブを観ましたが、その時は何故かアルバム以上のものをそのショウから感じ取ることが出来なくて5曲ほど聴いたところで会場を後にしてしまいました。今振り返ると勿体無い話です。そしてそれ以降はiPodに入った「Mr. Breast」アルバムをドライブの時にたまに聴く程度でした。最新作「Hardcore Will Never Die, But You Will.」を聴くまでは。私の中でMogwaiに対する評価が変わったのがこの最新作で、まずはこのアルバムのタイトルの響きが物凄くカッコいいなと感じ、ネットで丁度フルストリーミング視聴してその楽曲の素晴らしさに触れ、すぐにアルバムを予約注文。その際に昨年末発売されたライブアルバム「Special Moves」、それからスタジオアルバムでは前作「The Hawk Is Howling」を合わせて注文し、それらの音源を聴きながらライブに備えました。

この日、ライブ会場となったのはフランクフルト市内のMousonturnというクラシック音楽などのコンサートも開かれる中型ホールです。一階はスタンディング、二階は招待客のみの座席スペースがあり、会場のキャパは後でネットで確認しましたが800人〜1000人ほどになります。場内はほぼ満員でしたが何とか人ごみをかき分けてステージ前方部、向かって左側に陣取りました。前座のアコースティックギター奏者のステージが終わりほど無くしてMogwaiのショウが始まりました。彼らの演奏は前回観たものと比較にならないほど素晴らしく、演奏されていく1曲、1曲を楽しむことができました。うる覚えですが、その日演奏されていたセットリストは近作3枚のアルバムからの楽曲が中心であったかと思います。日本には今年フジロック出演で先のツアーに続いて再来日が予定されているとのこと。フジロックは行けそうにありませんが、野外ステージでは彼らの時に耳をつんざくような轟音と嘆美なコード進行がマッチするのではと想像します。また機会があれば是非ライブを観たいです。それまでに旧作もしっかり聴き込んでおきたいと思います。





Monday, March 7, 2011

Maserati @Jugendkulturhaus Cairo in Würzburg Mar 4

フランクフルトから東に約130キロほどに位置するヴュルツブルクへ、Maseratiのライブを観に行って来ました。ヴュルツブルクまでのアウトバーン、B3号線も所々工事区間が有り、自宅を20時に出発して会場に到着したのは21時半過ぎ。

会場となったJugendkulturhaus Cairoは古い石造りの建物内装をリフォームしたキャパ200人弱ほどの小さいライブハウス。場内に入り、間もなくしてトリ前のアーティスト演奏が始まった。シュールな近代美術絵画を次々と映し出す映像に合わせて、50代、60代と思われる初老の男性が、ループエフェクトを巧みに操りホワイトノイズ+ニューウェーブの実験音楽を奏でる。そして傍らに銅像のようにぴくりとも動かずしゃがんでいた、仮面を付けた女性がその曲の展開とともに意味不明のダンスを踊り出す。私が驚いたのは、人によっては退屈に感じぺちゃくちゃとお喋りをする観客がいてもおかしくないのに、アーティストに敬意を払うかのように、黙ってパフォーマンスを見ている。この日がたまたまであったのかもしれませんが、ドイツ人のオーディエンスとしてのモラルは日本のそれに近いように感じます。

前座のパフォーマンスが終わると、Maseratiのメンバーが登場して黙々と機材のセッティングを行っていく。大抵彼らのようなインディバンドは必要最小限のスタッフでツアーを廻るので、セッティング、片付けは殆ど自分でこなさなければなりません。ここでちょっと過去の話に遡りますが、私がまだバンクーバーに住んでいた2009年10月にMonoと共にツアーを廻っていたMaseratiのライブを初めて見ました。アルバム「Inventions for the New Season」がリリースされてから2年を経てようやくその機会が巡ってきたのです。その時は何よりもジェリー・フュークスのドラムがパワフルで、「Show me the season」の3連キックに圧倒された。そしてその一ヶ月後、ジェリーは故障のため停止した作業用エレベーターから建物のフロアに飛び移ろうとした際に誤って落下し、帰らぬ人となってしまったのです。

そんなこともあって、今回Maseratiのツアーに帯同しているZombiのA.E.Paterraがどれだけのドラミングを披露してくれるのかが楽しみでしたが、実際のところゲスト以上の働きはしていないというか、ラフな演奏が目立ちました。この日が欧州ツアー2日目ということでまだ時差ボケという問題もあるでしょう。

今回のショウでは新作アルバム「Pyramid of the sun」の楽曲を中心に、過去のポストロック色からエレクトロニック色の強い音楽へと変遷を遂げていました。そこには1年半前のスタイルとは明らかに異なっていますが、その代わり中心メンバー、ギタリスト(名前は分かりません)のループやディレイを多用したサウンドがより鮮やかに感じました。

残念ながら、今回のライブでは私が最も好きな「Show me the season」は披露されませんでしたが、それでもわざわざヴュルツブルクまで観に来た甲斐はありました。僅か1年という短期間で新たな方向性をバンドは獲得したのですから。

Sunday, February 20, 2011

「音楽フェスに行こう」


(※写真は2009年のSasquatch Music Festivalにて撮影)


先日、世界のCD販売激減についてブログ記事を書きましたが、そんな音楽メディア販売市場の縮小とは反対に音楽フェスティバルに対する注目度は全く失われていないと言っていいかもしれません。と言うのも、日に18万人弱もの観客を集めるイギリスのグラストンベリー、8万人を集める米国のコーチェラ、同じく8万人のドイツ、ヴァッケンこれらのチケットは既に完売している。特に驚くべきは6月に開催されるグラストンベリーで昨年10月にチケットが発売されて4時間のうちに全てソールドアウト。勿論出演者はこの時点で何ら発表されていない。出演者が誰だからというよりもそのフェスティバルのブランド、そしてこれらのイベントに集まることに意味があると感じるからこそでしょう。私的には発売15分で完売してしまったRoadburnが規模は全く比べ物にならないがこれも凄いと思っています。

さて、備忘録も兼ねて代表的な音楽フェスをざっと以下の通りまとめてみます。(随時更新)
もし海外フェスに興味を抱いた方はちょっとした冒険になるかもしれませんが、是非行かれることをオススメします。

APR 14-17 Roadburn Festival (Holland)

APR 15-17 Coachella Music Festival (US)

MAY 27-30 Sasquatch Music Festival (US)

JUN 3-5 Rock Am Ring/Rock Im Park (Germany)

JUN 9-12 Bonnaroo Music & Arts Festival (US)

JUN 17-19 Hurricane Festival (Germany)

JUN 17-19 Hellfest (France)

JUN 30-JUL 3 Rosklide Festival (Denmark)

JUL 29-31 Fuji Rock Festival (Japan)

AUG 4-6 Wacken Open Air Festival (Germany)

AUG 5-7 Lollapalooza (US)

AUG 13-14 Summer Sonic Festival (Japan)

Kylesa @Jugendhaus in Stuttgart Feb 19




昨夜はヨーロッパツアーの最終日を迎えるKylesaのライブを観るために、私の住んでいるフランクフルトから200km南に位置するシュトゥットガルトに行ってきました。200kmの距離というと東京から西は静岡、東は日光の先くらいでしょうか。ドイツと言えばアウトバーンですから「時速200kmで車を走らせれば1時間です」と言いたい所ですが、所々80km、100km、そして120km制限の区間があるのでそうはいきません。無制限区間を120〜140kmで走らせても結果的には時速100kmとなることが多いです。勿論夜間なのでスピードを出しすぎないようにしているせいもありますが。

さて、自宅から出発して約2時間後の夜9時前にはシュトゥットガルトの街に入り、目的地のライブハウス付近まで行きましたが、土曜の夜ということもあり何かイベントがあったのか、もしくは普段からそうなのか分かりませんが、路肩の駐車スペースが全く見つかりません。どこも一杯。1時間ほどあたりをぐるぐる廻り、とある地下駐車場に入るも深夜は出庫が出来ないと言うことが分かり、また別の駐車場を探す。間もなくして別の地下駐車場入り口が見つかり、車を駐車場に入れる前に窓口にいたオジさんに尋ねると問題は無さそうだったので、車を止めて地上へ出る。後で気付いたがそこは病院の地下駐車場で、そのために24時間空いているようです。もしこのブログを見られた方でJugendhausに行かれる方はこの駐車場は便利なのでオススメします。1時間あたり1ユーロです。

前置きが長くなってしまいましたが、会場に到着すると辺りは全身黒い革ジャンや、ジーンズの不健康そうな人達が沢山います。日本で言えば新宿アンチノック辺りに出没するような人達でしょうか。ドイツはドゥーム、スラッジ、クラストといったコアな音楽シーンが底堅く、そういった基盤があることから日本のGauze、Lip Cream、SOBといった80、90年のバンドも人気があるようです。
話が少し脱線してしまいましたが、私が到着したときは丁度前座3バンドのうち2番目のバンドの演奏が終わり、それから間のⅠバンドは見ずにiPhoneでツイッターをチェックして時間を潰しました。そして時計の針が午後11時を廻った頃、kylesaがようやく登場です。



私がKylesaというバンドを初めて知ったのは2009年4月にバンクーバーで行われたMastodonのツアーで、その時は「ふーん、なかなか良いジャン」と思っていた程度でした。で、次が昨年夏Convergeとのヨーロッパツアーの際に、Nürnbergで観ましたが、その興味本位の曖昧な評価が、「このバンド、凄いな」と確信的なものに変化しました。そしてその半年後となる、新作「Spiral Shadow」を引っさげたライブはまたもや進化が感じられました。

Jugendhausはざっと見た所キャパが150人ほどの小さいハコで、天井が低くステージとスタンディングスペースとの段差も無く前に身長が高い人がいると全く前が見えない、そんなところで音響もハッキリ言って最低。そんな環境ですから当然ツインドラム、ギター2本、ベースと重厚な音に、ツインボーカルのバランスを取るのは困難です。演奏開始当初はその音質の悪さにウンザリしながらもKylesaのパフォーマンスをじっくりと観賞。演奏曲は「Spiral shadow」、そして現在のツインドラム編成となった前作「Static Tentions」からが大半。ライブの盛り上がりが一気に加速したのが、5曲目に演奏した新作からのキラーチューン「Tired Crime」。その後、演奏が進むにつれ勢いは止まらず、次第に観客スペースの中央も押し合いへし合いのモッシュもどきが始まる。(私は参加しませんでした)

ライブは佳境に入り、最後は「Unknown Awareness」。ツインドラムのシンクロを最大限に活かしたこの曲はこの上無いほどカッコ良く、演奏の後半にはメンバーがタムを観客スペースに持ち込み、ツインドラムと合わせてタイコのみの素晴らしいアレンジを聴かせてくれた。そしてアンコールⅠ曲を演奏して1時間強のセットは終了。私がまだ曲名を覚えていないので詳しいセットリストをお伝えすることが出来ませんが、近作2枚からの重要な曲はほとんど含まれていたかと思います。

Kylesaはまだ完璧なバンドではないです、というか進化を続けている過程にあります。今回のライブではシンセやテルミンと言った、楽器も所々で扱われ、ライブパフォーマンスとしての幅も飛躍的に広がっています。おそらく次回観るときも更に進化したバンドの姿を見せてくれることでしょう。


■Kylesa Myspace
http://www.myspace.com/kylesa

Saturday, February 19, 2011

「世界CD販売の減少が止まらない」

2010年の音楽メディア販売状況が発表されていますが、特にCD販売の落ち込みが酷く報道メディアによってその数値はやや異なるものの2009年から10%前後の売上枚数減となったようです。またCD市場を浸食しているデジタル音楽ファイルのダウンロード販売額は5%ほどに増加ベースが鈍化しています。特にCDの売上落ち込みが酷く以下のチャートをご覧頂くと一目瞭然です。



何故こうなったのか今一度CDの特徴を考えてみると、プラス面は「小さくて持ち運びし易い」、「音質が安定」、「レコードに比べ保管し易い」、一方マイナス面はというと、「ジャケットなどパッケージの位置付けが低下」「レコードがカバーする周波数領域がカットされてしまう」などがあります。

iPodなどデジタルメディア携帯オーディオプレーヤーの世界的な普及により、消費者はデジタルで音楽を聴く機会が多くなり、また購入する際もiTunes Storeなどから瞬時にダウンロード出来るので、とくにCDのパッケージが欲しいと言う人でなければデジタル音楽のみ所有していれば良いのです。CDの役割は既に終わったと言っても過言ではないかもしれません。

しかしながらこういった世の中の流れに相反した動きがあり、一般の認識としては既に忘れ去られているであろうレコードの評価がここ数年高まって来ています。以下リンク先の記事によれば、レコードの2010年販売枚数(米国)は280万枚で2009年から14%の販売増となったそうです。
http://www.tinymixtapes.com/news/take-recession-vinyl-sales-increase-music-industry-slides-closer-shit-hole

私の感想としてはこのトレンドは頷けることで、音楽を心から楽しみたい人々は楽曲だけでなくパッケージその他、目に見える形で所有したいと言う欲求があるのだと思います。私もその熱に冒されてしまった一人で過去5年間でコレクションに加わったレコードは200枚を越えているでしょうか。

最後にレコードに興味を憶え、これから聴こうかなと思われている方へアドバイスさせて頂くと、最近はレコードの重量が作品によっては一枚あたり180gの重量盤になったり、また古い作品でもオリジナルテープからリマスター処理を行っていることからCDに比べて音質が格段に高いと思います。
またこれは蛇足ですが、レコードを収納するのに最適なラックはIkeaのExpeditが価格的にも数千円で割安なのでオススメします。

結局、この文章の結論はレコードの良さを主張したいが為の内容となってしまいましたね。。

Friday, February 18, 2011

「渋谷ハチ公広場金曜日18時59分」





このタイトルが意味するのは何なのか不思議に思った方もおられるでしょうが、これは何の前ぶれもなく新作アルバム発売を発表したRadioheadのツイッターで呟かれた謎のメッセージです。「もしやプロモーションも兼ねたシークレットギグが渋谷であるのでは?」という憶測がネットで飛び交い、余りの反響により当日、渋谷ハチ公前が大混乱になるのを日本のレコード販売元が危惧し、結局はイベント自体が流れてしまいました。実際、ハチ公前はRadioheadのような大物洋楽アーティストがゲリラライブを行えるようなロケーションではないのですが、この呟きに触発された外国人が日本行きの航空チケットを手配していないことを祈ります。。(笑)

さて肝心の新作アルバムですが一般発売は3月で現在、バンドのオフィシャルサイトでは限定パッケージのレコード、それからMP3やWAVのデジタル音源の予約販売が開始され、予約購入者は既に同サイトから購入時に選択したMP3もしくはWAVファイルをダウンロードが可能となっています。で、今はダウンロードした新作を聴いているところですが、第一印象としては過去に発表した「Kid A」や「Amnesiac」のアプローチに近く実験的な音楽作品となっています。アンビエント、エレクトロニカを基調とした楽曲は、このバンドがデビューした20年ほど前は一般的なギターロックバンドだと知ったらその違いに驚く人もいるかもしれません。

一回聴いただけじゃ、この新作は語れません。聴けば聴くほど新たな一面が見えてくるように感じます。ただ人によっては全く駄目な人もいるのではないだろうか、そんな作品です。前作「In Rainbows」はギターロックの要素も多分にあり、ある意味無難な作品だったなと思いますが、今回はそれは無いですね。リスナーを突き放し、バンドの変化についていけるのか試されているような気もします。

Radioheadの作品は全て所有していますが、どの作品もハズレは無いですし全て良いと評価します。ただし敢えてどれが一番かと聞かれるなら私は「Kid A」を選ぶでしょう。

Radioheadのような大物が毎回新たな世界を切り開こうと果敢にチャレンジしている姿勢は称賛に値し、何十年後かにはBeatlesなどと同様にずっと語りつがれていくのではないでしょうか。



■新作「The King Of Limbs」予約販売サイト

http://thekingoflimbs.com/